2013年10月27日の「全力教室」の講師は元天才子役、坂上忍さんでした。
オーディションに全然合格しない売れない子役達とそのお母さん達に講義をする、という内容。
坂上さんは、現在は子役プロダクション「アヴァンセ」を経営して、子役の演技指導者として活躍しています。
厳しく叱る指導方法が有名で、TVにもよく出ていますよね^^
こういう業界は、「オーディションは落ちて当たり前」と考えられているそうなのですが、そういう中でもアヴァンセは75%という抜群のオーディション合格率を誇るそうです。
坂上さんの指導方法は、TVではいつも子供達に厳しく怒鳴っている派手なシーンが多いので、そういう厳しい指導なのかな?と思ってしまいがち。
でも実は、決して怒鳴ることに重きを置いているのではなく、良いと思ったことは「それイイ!」と言い、ラフに話しをしたり、笑いもあったり、成長させるためにきちんと考えられているんです。
厳しく感じるのは、経験豊富なだけに指摘する部分の一言一言が鋭く的確、細かいところまでちゃんと見ているからでしょうね^^
全体的にものすごく上手に指導されている印象でした。
坂上さんの指導方法は、単に「子役」という枠だけでなく、子育てに置き換えて、その土台の部分で役に立つ内容だと思いました。
親が出過ぎない
坂上さんは、子役プロダクションに来る親御さんたちに必ずお願いしていることが1つあるそうです。
それは、
「親は何もしないでください。」
ということ。
これは、「放っておきなさい」という意味ではなく
「子供のことを思うならあれこれヘルプをし過ぎるな」
という意味です。
以前、「エチカの鏡」という番組で有名になった、「ヨコミネ式教育法」の横峯さんがやっていた教育法に似ていますね^^
⇒ヨコミネ式教育では、悔しがる経験を大切にしていた
坂上さんは「教育」ではなく「子役指導」なので、悔しがる経験をさせようとしているわけではありませんが、特に子役の場合、親が子供よりも頑張り過ぎてステージママになってしまいがち。
子役をやり始めると、親の期待や親の夢が子供のより膨らむことがあるんですね^^;
それが、子供を窮屈にさせていることがあるというわけです。
子供のうちは、何をやるにも最初は親のサポートが必要かもしれません。
でも、やり過ぎは良くないので、そのバランスを考えることが大切ですね^^
適度な所で少しずつ手放す。
そういうことが、子供と信頼関係を築けますし、自分で、どうしたらよいか考える力も持つようになるのだと思います。
なぜオーディションに落ちるのか?
先ほど、「オーディションは落ちて当たり前」と言いました。
ではなぜ受かる人がいるのか?
それは、
【運+タイミング=出会い】
だと坂上さんは言っています。
実際のオーディションでは、時間が限られていることもあるのですが、例えば3人ずつくらい入ってきた時、椅子座る前に決めていることがあるそうです。
一言もしゃべってないうちに決めるわけですが、それはもう、部屋に入ってきた瞬間の雰囲気から
「この子いいな」
と、審査員は感じ取っているんですね。
そこでオーディションに合格するわけですが、その後の仕事ぶりだったり、人との接し方などが良ければ、監督やスタッフがファンになってくれます。
そうすれば、次もまた仕事をお願いされるようになるというわけです。
では、そう思われない子はなぜいるのか?なぜ落ち続けるのか?
一番多いのは、親で落ちるということ。
例えば、演技だけでなく、接した時に「何か違うなあ」と違和感のある子がいるそうです。
子役の中には、
「おはようございます!」
と、声高で満面の笑みでしてくる子もいるわけですが、それがどこか不自然な感じでやっているわけですね^^;
この背景には、親御さんが
「もうちょっと挨拶を元気にやった方が良いんじゃない?」
みたいに、よかれと思って逐一アドバイスしていたりすることがあるわけです。
なので、オーディションの後にそういうステージママに合うと、
「なるほど、この親御さんなのか」
と、違和感を感じた理由が合致することが多いのだとか。
親から受け継いだものやしつけなどが、オーディションを受ける前から雰囲気として現れているわけです^^
親が踏み込み過ぎると、子供にとって一番大事なものが失われる可能性があります。
それは、子役の世界においては「自然な演技」。
皆で笑う演技の練習をしていると、「楽しそうに笑わないといけない」という想いが強すぎて、結果的にひきつった笑い方になる子がいますが、そうではなく、自然な笑い方が欲しいわけです。
何気ない冗談を言った時に笑っている自然な顔、安心して落ち着いた時に笑っている自然な顔が「笑顔の演技」で欲しいところ。
役の時に自然な笑い方が出来る子は、笑う時に、楽しいという「気持ちを入れる」のではなく「気持ちそのもの」になるんです。
泣く場面も一緒で、「悲しい気持ちを入れる」のではなく、「悲しい」ということですね。
役っぽく演じるのではなく、そういう感情を役にはめ込むことが、その子にしか出せない笑顔だったり、悲しい雰囲気など、その子らしい役の演じ方に繋がるのです。
泣き方、笑い方をパターンで教えても、個性には繋がりません。
結果として、オーディションに落ちてしまうわけですね^^;
子供が自分で歩きだしたのなら、親は子供らしさがなくならないようにするためにも見守ることが重要です。
技術的なことは、お世話になっているプロ、この場合は子役プロダクションですが、習い事ならその教室の先生などに任せた方が良いですね^^
やりたいことが一番
坂上さんの子役プロダクション「アヴァンセ」では、そのように子供それぞれの個性を伸ばすように指導しています。
そのやり方だからこそ、75%ものオーディション合格率を出しているのだと思いますし、どんな子が来ても育て上げるのだと思いますが、唯一、「この子は役者はやめた方が良いのでは?」というものがあるそうです。
それは、好きでやっていない子です。
子役という場ではよくありそうですが、それに限らず、普通の習い事でもよくあることです。
親が良かれと思って押し付けてしまうことってありますよね^^;
ただ、親が必要だと思ってやらせること自体が悪いわけではありません。
やっているうちに面白さや、将来に向けた大切なことなのだと理解していくこともあるので、そうなれば自分からやるようになることもあります。
でも、親の押し付けがずっと続いて、子供の気持ちがないがしろにされているパターンが良くないわけですね^^;
そういう子がやっている場合、何で役者になりたいのか?聞いてみると、
「親にブランドのバッグや服をたくさんプレゼントしたいから」
みたいなことを言うわけです^^;
一見、親思いの優しい子に見えて微笑ましいのですが、自分の気持ち、つまり心からやりたいと思ってやっているのか?というところを軽視しているわけですね。
こういう子は、自分の気持ちを押し殺す傾向があるので、自分が我慢していることに気づかないことがあります。
自分で、どうしたいのか分からないのですから、なかなか自分から「やりたくない」とは言わないでしょう。
なので、そういう意味でも、親が出過ぎないということは重要です。
親が出過ぎると、子供の気持ちを押し殺してしまいます。
坂上さんは、そういう子には、
「他に好きなことがあるならそっちやった方が良いぞ、と正直に言える大人でありたい」
と言っていましたが、子供の成長を願う気持ちがあるのなら、それが一番だと思います。
適度にサポートしながら見守り、子供の気持ちを確認しながら応援することが大切ですね^^
坂上さんの指導方法は、決して執拗に叱るのでもなく、褒めて褒めて持ち上げすぎるわけでもありません。
でもなく、自分に正直に接しているということ。
こういう、子供と正直に向き合う姿勢は、子供をその気にさせる力があります。
その手法、見習いたいですね^^